「理科系の読書術」を読みました

読書

「本を読むのが苦手」、「本は読むけど難しい本は敬遠してしまう」、「もっと効率的に本が読みたい」という人はいませんか?

 そんな人におすすめする本は、「理科系の読書術 インプットからアウトプットまでの28のヒント」(中公新書)です。著者の鎌田浩毅さんは火山学・地球科学が専門の京都大学名誉教授です。

 本書は主に読書が苦手な人を想定して書かれており、彼らが抱く「心のバリア」をいかに取り除くかがテーマとなっています。

 私は日常的に読書をしていますが、難しい本は避ける傾向にあり、本書を読んで難しい本とのつきあい方がわかりました。

 では、紹介していきます。

難しい本は著者が悪い

 「難しい本は著者が悪い」、私がこの本で一番グッときた一文です。私が難しい本を読んで理解できなかった場合、「自分はまだこの本を読むレベルに達していない」と考えていました。つまり「自分が悪い」ということです。しかし本書によれば「難しい本は著者が悪い」というのです。

 確かに自分が悪いと落ち込むよりは、著者の説明の仕方が悪いと思って、さっさともっとわかりやすく書かれた本を読んだ方が精神衛生上よろしく、かつ建設的であろうと思います。

本を読破しても偉くない

 「本を読破しても偉くない」、これも本が苦手な人に勇気をくれる言葉です。本を読破して褒められるのは子供の時ぐらいでしょう。もちろん大人になったら褒められることなんてありません(笑)。本は1ページ目から読まなくてもいいし、最後まで読まなくてもいいのです。必要なところだけ読んで、後は読まないということもしていいのです。

 ただし小説には通用しません。小説は最初から最後まで順を追って読んでいくように書かれています。いきなり最後の方から読んでもわかりません。

おすすめ○○法

 本書を読んでいると「○○法」がたくさん出てきます。人によっては、どれを採用すべきかわからなくなることもありえます。また全部採用しようとして挫折してしまう人もいるかもしれません。

 そこで押さえておくべき方法を4つご紹介します。

棚上げ法

 「棚上げ法」とは、わからないところは飛ばし、とりあえず先に進むという方法です。

 読書はもちろん仕事でも活用できます。私はWEBライティングをやっていますが、とにかくサッと書けそうなところから書いて行くと、残りをどう書いたらいい解決策が浮かびました。書けそうなところだけで既定の文字数をクリアしていたということもあります。

 また学生時代の試験対策で「難しい問題は飛ばして、簡単な問題から解きなさい」と先生に言われたことがあるでしょう。今思えばあれも「棚上げ法」だったのです。

不完全法

 「不完全法」は、「不完全でもいい」と割り切る方法です。完璧主義の反対です。この不完全法があるから棚上げ法ができます。「不完全でもいい」から「わからないところを棚上げして先に進める」のです。もし完全でなければならないとしたら、わからないところを棚上げできませんよね。不完全法は棚上げ法の前提となるべきものなのです。

 そういえばFacebook(現:Meta)創業者のマーク・ザッカーバーグはDone is better than perfect.(完璧を目指すよりまず終わらせろ)と言ったそうです。これもまた不完全法ではないでしょうか。

要素分解法

 「要素分解法」は、難しいことに出会ったらバラバラの要素に分けるという方法です。文学作品などを読んでいると、句点(。)がなかなか出てこない長い文章に出会うことが多々あります。こういう文章は厄介で、何を言っているのかよくわからなくなります。そういう時こそ、「要素分解法」の出番です。主語と述語を押さえるのです。長い文章でも主語と述語を押さえれば、かなりシンプルになりますし、意味もわかります。中学校の国語や英語の授業でよくやりましたよね。

15分法

 「15分法」は、15分だけ集中して本を読むという方法です。15分というのは、人間の集中力の限界が15分というところから来ています。時間がなくて本が読めないという人、本を読み始めても長続きしない人におすすめ。巷でよく言う「すき間時間に本を読む」とよく似ています。

 私の場合、15分どころではありません。リアルタイムでアニメを見ていると、途中1分くらいのCMが入ります。そのCM中に読書しています。今年に入ってからドストエフスキーの「白痴」(上下巻、新潮文庫)を3か月で読んだのですが、まとまった時間を確保して読んだことはほとんどありません。テレビのCMのような5分に満たないすき間時間で読みました。

 「塵も積もれば山となる」と言いますが、短時間でもかき集めればかなりの時間になりますし、名作を読むことも可能なのです。

まとめ

 鎌田浩毅さんの「理科系の読書術 インプットからアウトプットまでの28のヒント」(中公新書)をご紹介しました。理科系というと何だか難しそうな気がしますが、読んでみるとそんなことはありません。読んだらすぐ真似できる方法がほとんどです

 私もここに紹介した「棚上げ法」「不完全法」「要素分解法」「15分法」は日常生活でも頻繁に使っています。効率的に本が読み進められるようになったと実感しています。本書の中にはこの4つ以外にもたくさんのテクニックが載っているので、ぜひ読んで活用してください。理科系という言葉で敬遠せずに、文系の人も読んでいただきたいと思います。

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