あたりまえを再確認「心配事の9割は起こらない」

読書

今回紹介する本は、枡野俊明さん著「心配事の9割は起こらない」(知的生き方文庫、三笠書房)です。枡野さんは曹洞宗徳雄山建功寺のご住職です。一般向けに禅の教えを説く本を多数執筆されています。

本書は全6章で構成され、各章には10個前後の節があります。1つの節は長くても5ページ程度です。またそれぞれの節は独立しており、どの節からでも読めるようになっています。最初から最後まで通読してみるのもいいですが、目次を見てその時の気分で読む節を決めるという読み方もいいでしょう。

あたりまえを再確認

本書に書かれていることの大半はあたりまえのことです。目新しいことはあまり出てきません。昔何かの本で読んだ、昔どこかで聞いたということばかりです。ならば読む価値はないのかというと、そんなことはありません。

読書というのは新しい知識を得ることが重要な目的です。しかし一方であたりまえのこと、すでに知っていることを再確認することもまた重要な目的なのです。

問題なのは、あたりまえなのにできていないということです。「そんなのはあたりまえだ」「そんなことはわかっている」などと言いつつ、実はできていないということの何と多いことでしょうか。あたりまえのことを忘れている自分、できていない自分に気づかせてくれる本なのです。

人と比べない

禅でいう妄想とは心を縛るもの、心から離れないものすべてだそうです。「あれが欲しい」「あいつが羨ましい」「俺はダメだ」、全て妄想です。「なら人間は妄想ばかりじゃないか!」、そう、その通りなのです。

大切なのは妄想をできる限り減らすこと。ゼロにはできません。何にも心を縛られないと言うのは簡単ですが、実行するのは無理があります。

妄想を減らすポイントは人と比べないこと。禅では、どんな人も他者とは比べようのない絶対の存在と考えます。

人と比べないことと合わせて、「莫妄想」という禅語も覚えておきましょう。「妄想することなかれ」という意味だそうです。

余計なことを調べない

「余計なことを調べない」、私はこれを読んで耳が痛くなりました。同じような方は多いのではないでしょうか?スマホで何でも手軽に調べられる時代、余計なことまで調べているということは確かに多いのです。

情報が多いと何が困るのでしょうか?それは判断力が弱まるということです。情報が多い、選択肢が多いばかりに何をすればいいのかわからない、決められないという状況に陥ります。

では、一体どうしたらいいのでしょう?枡野さんは「心の置き所を定めて、その心に問いかけよ」と説きます。自分が何をしたいのかを知っているのは自分の心だけなのです。

わが身を省みるに、自分の心と向き合うようなことをほとんどしてこなかったように思います。親がこうしろと言うからする、友達がこうしているから自分もする、世間体がいいからする、そんなことばかりです。そうしてした決断には、自分というものがないし、もちろん心の置き所を定めてもいません。どうりで人生に後悔が多いわけです。

まとめ

枡野俊明さん著「心配事の9割は起こらない」(知的生き方文庫、三笠書房)を紹介しました。忘れていたこと、わかっていた気になっていたけれどもできていないことに気づかされる本です。読めば少し心が楽になのではないでしょうか。

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