大河ドラマ「べらぼう」第6話を見たので感想を書いていきます。
ネタバレがありますのでご注意ください。
今回は、蔦重が改めとして鱗屋の元で再び働くことになりましたというお話。
鱗屋の二面性
この鱗屋というのは、体よく蔦重を利用し、さらには大坂の版元が出している字引の海賊版まで出して稼ぐという悪党です。
しかしどうにも悪党というだけではありません。劇中では面白い青本を作ろうという話になり、蔦重と二人で青本の企画を練っている時は、とても蔦重を利用しているだけには見えませんでした。鱗屋が言うには青本を世に出したのは鱗屋の曾祖父とのことで、本気で面白い青本を作ろうとしているように見えました。
あくどいことに手を染める一方、本づくりにかける確かな情熱も持ち合わせている、鱗屋はそんな二面性のあるキャラクターとして描かれます。
どっちつかずの蔦重
蔦重は鱗屋が字引の海賊版を出している証拠を掴みながら、須原屋にも奉行所にも申し出ることはしませんでした。その理由について、蔦重は「告げ口なんて性に合わない」と言っていますが、それだけではないでしょう。
鱗屋に改めとして出入りしていた蔦重は、長兵衛や藤八などといった鱗屋の人々と触れ合ってきました。鱗屋を突き出せば、彼らも路頭に迷うことになる、それを忌避した蔦重は訴えることができなかったのです。
一方で、鱗屋に危ないぞと伝えることもしませんでした。伝えていたら鱗屋の逮捕はなかったかもしれません。しかし蔦重もそこまでお人好しにはなれませんでした。鱗屋が消えてくれた方が都合がいいという打算や鱗屋に対する復讐心も少なからずあったのでしょう。
結局、蔦重は自分からは動かず、「運を天に任せる」というどっちつかずの態度を取ることにします。このどっちつかずの態度が蔦重を危機に陥れます。鱗屋に捜査が入った際、蔦重も鱗屋の一味と見なされてしまったのです。捜査に来たのが顔見知りの長谷川で見逃してもらえましたが危ないところでした。
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