嫌いなことで死なない「年収90万円でハッピーライフ」

読書

今回紹介する本は大原扁理さん著「年収90万円でハッピーライフ」(ちくま文庫)です。表紙を見た時は衝撃的でした。「年収90万円でハッピーライフなんてことがありえるのか」と。すぐにAmazonでポチって読みました。

大原さんは介護の仕事を週2日やって月収7~8万円、家賃は2万8千円、食費1万円、固定費1万5千円という暮らしを多摩でしていたそうです。この暮らしぶりを大原さんは「隠居」と表現しています。20代から隠居してきたそうです。

隠居生活の全貌を明かしてくれるような本ですが、隠居を推奨してはいません。私もこの本を読みましたが、隠居をしてみようとは思いません。「世の中には変わった考え方をする人がいるな、少しだけ取り入れてみようかな」とは思います。そのくらいのスタンスで臨む方が大原さんの意に沿うのではないでしょうか。

嫌いなことで死なない

「嫌いなことで死なない」、本書で何度も繰り返されるフレーズです。対比されるのは「好きなことで生きていく」。近年よく聞くフレーズです。

「好きなことで生きていく」ということに関して、私はかなり懐疑的です。好きなことで生きていけるのは、一部の才能ある人間だけで、残りの人間は好きなことでは生きていけず、好きでもないことをやって生きて行かざるを得ないのが現実ではないかと思うのです。

ですから、大原さんの説く「嫌いなことで死なない」は腑に落ちるのです。それぐらいハードルを下げた方が現実的だという主張もごもっとも。現在仕事を探しているという人は、やりたくないことをリストアップしてみて、それ以外の仕事を探してみましょう。

本を10冊読む

大原さんは図書館で本を借りて、10冊くらい同時進行で読むのだそうです。ジャンルは小説・歴史・自己啓発・マンガなど活字なら何でも読むとのこと。図書館や古本屋をフル活用すればお金がなくても本が読みまくれるということです。

私もこれをやってみました。コツは読むのが遅い本が出てきても気にしないこと、10冊全部最初から最後まで読み切ろうと思わないことです。10冊同時進行でやるなら、全部読むのは1冊か2冊かぐらいに思っておいた方がいいです。残りは必要なところか面白いところだけ読むと割り切った方が上手くいきます。

逆算して働く日数を決める

一般的には、まず仕事と月収が決まって、月収を見ながら家賃がこのくらいのところに住んでとか、食費はこのくらいとか決まっていきます。仕事と月収から生活レベルが決まるのです。

しかし大原さんは違います。まず生活費を決めてしまうのです。物欲を減らし、工夫を凝らし、必要なものだけ買うというスタンスで生活費を減らしていきます。その生活費を見て、週何日働けばいいかを逆算します。結果的に週2日働けば十分という結論に至ったそうです。いかがでしょうか?目からウロコではないでしょうか。

お金を人格化

大原さんはお金を人格化しているのだそうです。すなわち、自分がお金だったらどういう風に扱われたいかと考えてみるのだそうです。もっと言えば、お金を大切な友人のように思っているというのです。

私はこのくだりを読んでいて、高橋洋一さんの漫画「キャプテン翼」を思い出しました。主人公の翼君は「ボールは友達」とよく言っていましたよね。大原さんとお金の関係は、翼君とサッカーボールの関係に似ているのかもしれません。私たちもお金を大切な友人のように思えば、もっと大事に使えるでしょう。

まとめ

大原扁理さん著「年収90万円でハッピーライフ」(ちくま文庫)を紹介しました。隠居生活のノウハウ本としても読めますが、面白いのはそのノウハウの根底にある考え方です。大原さんの人生観とでも言いましょうか。そこが非常に面白いです。

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